○ 緊張する国際情勢を読み解く
海上自衛隊
１） 緊張する国際情勢
ことに最近になって国際情勢は緊張の度合いを高めているが、われわれは、そうした情勢にあって軍事力（我が国にとっては防衛力）の情報を入手し、その分析をすることでより安定的で適格な国家防衛の観点が重要となっていると考える。
すでに中東、北アフリカ、東アジアなどは、一触即発の危機に在ると言っても過言ではないだろう。いや、軍事力の直接行使はないが、経済を含めた緊張状態は、すでに戦争状態と言えるだろう。
私は、軍事力の行使を是認する者は誰もいないと確信したいが、それを納得するだけの現在の国際情勢ではないようだ。むしろ、ここで「武力紛争のない世界を・・・」などと声高に叫ぶと現状認識に欠ける異端者と揶揄される有り様ですらあるようだ。
「非武装の平和」とは、在りうるのか、という大命題が我々に問われているのは確かだ。武力行使がどんな結末を迎えるかは、良識ある者ならば誰もが認識していることであろうと私は考えたいが、それにはどこか空疎感が伴う。
米国もトランプ新大統領が就任し、モンロー主義に基づく大統領令を発令しているが、ここから見えてくる未来は悲惨な状況であろうと私は予測する。外交は、国益を第一に考えることは当然だろうが、相手国も同様に国益を追求しているのであるわけだから、その交渉の背景に軍事力を臭わせるのは、どうしても納得がいかないのである。
そこで問題となるのは、「軍事力を強化すれば、国防力は高まるか」ということだが、結論から述べるとすれば、私は「それは当然のことだ」と考える。しかし、それは装備の高度な進化は、それを扱う兵士たちの熟練度と強い精神力が随伴していなければ、和平とは逆行する結果となるのは必定だろう。
最後に、我が国の自衛隊は現在の憲法下では軍隊ではなく、国軍ではないのであるが、この国軍ではない自衛隊員を海外に派兵することは、そのまま日本国民の支持がないままの活動となる。「自衛隊の国軍化」は憲法改定の如何であるが、それ以前に我々、日本国民が自衛隊に対して深く知ることによって、自衛隊の存在を理解し、自衛隊の活動を支援し、隊員たちの活動を理解することに努力することの重要性が高まっている。
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